リザレリスには、転生してからずっと気になっていたことがあった。それは残された家族や友人のこともあるが、それだけではなかった。
今さら考えても仕方がないことであり、考えないようにもしていた。憂鬱な気分になるからだ。しかし今回、愛憎に燃えるマデリーンを見て、思い起こさざるをえなかった。ある人のことを。それは誰か。
前世で自分を刺し殺した女のことだ。
自分を殺した彼女に対して、恨みたい気持ちがなかったといえば嘘になる。だが、それ以上に申し訳ない気持ちもあった。前世の行いが、決して褒められたものではないことは自覚していた。特に今世でエミルと出会い、彼の純真さに触れてからは、ますます省みる思いは強くなった。
だからこそ、より明るくしてフザケていた。元々そういう性格ではあったが、努めてそうした。せっかく転生したのに、前世の思いに縛られたくなかったから。それでも、マデリーンを見ると、やはり見て見ぬ振りはできなかった。彼女のことも、自分の思いも。
そう......。
転生してからもずっと気になっていたこと。それは、自分を刺殺した女の人生がどうなってしまったかということ!
間違いなく彼女の人生は狂ってしまっただろう。彼女は加害者であり自分は被害者だ。でも、自分の行いがそれを引き起こしたのなら、彼女は被害者だ。死んでしまった自分より、よっぼど悲惨な目に遭っているかもしれない。
だから